【資金計画】診療科別の開業費用シミュレーション|内科・整形外科・皮膚科・歯科の相場
クリニック開業を目指す医師にとって、資金計画は悩みの一つではないでしょうか。
同じ診療科でも、専門分野や規模、設備によって開業資金は大きく変動します。相場だけでは、リアルな費用が見えてきません。
そこで本記事では、内科・整形外科・皮膚科・歯科の4診療科を対象に、条件別の開業費用シミュレーションを行いました。
理想のクリニック開設に向けた具体的な資金計画のヒントとして、ぜひお役立てください。
【診療科別】クリニック開業費用の相場一覧

まずは診療科ごとの全体的な費用感から整理していきましょう。
なお、以下の金額はテナント開業を前提とした参考値であり、実際の費用は物件・設備・地域等の条件により異なります。
| 診療科 | 費用相場(目安) | コストの主因 |
| 内科 | 4,100万〜1億1,650万円 | 検査機器(内視鏡・超音波など) |
| 整形外科 | 4,500万〜1億2,300万円 | 広面積の物件・リハビリ機器 |
| 皮膚科 | 3,200万〜8,350万円 | 美容医療機器(レーザー等) |
| 歯科 | 4,100万〜1億1,500万円 | 歯科ユニット・配管工事 |
次の章では、診療科ごとに費用の内訳と具体的なモデルケースを詳しく解説します。
【内科】開業費用シミュレーション

内科は診療科の中でも開業件数が多く、専門分野や設備の選び方によって費用が大きく変わります。
内科の開業費用相場:4,100万〜1億1,650万円
費用のレンジが広い主な理由は3つあります。
①専門分野の違い
消化器内科・循環器内科・呼吸器内科といった専門分野に特化するほど、高額な医療機器の導入が必要になります。
②規模(坪数・スタッフ数)の違い
診察室1室・スタッフ2〜3名のシンプルな構成と、複数の診察室・処置室・検査室を備えた構成では、内装工事費と運転資金の準備額が大きく異なります。
③設備グレードの違い
電子カルテやレセコンの選択、医療機器を購入するかリースにするかでも、初期費用は数百万円単位で変動します。
内科の費用内訳モデルケース
以下は、テナント開業(賃貸)を前提とした2つのモデルケースです。
【モデルA】一般内科 目安:4,100万〜5,750万円
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費 (敷金・礼金・仲介手数料) | 200万〜400万円 | 想定面積:約10〜25坪程度 |
| 内装工事費 | 1000万〜1,500万円 | |
| 医療機器・設備費 | 700万〜1,000万円 | レントゲン・血液検査機器等 |
| 電子カルテ・レセコン | 150万〜300万円 | |
| 什器・備品・消耗品 | 100万〜200万円 | デスク・待合チェア・医療消耗品等 |
| 採用費・研修費 | 50万〜150万円 | 看護師1〜2名、医療事務1〜2名 |
| 広告・ホームページ制作費 | 100万〜200万円 | 開業告知チラシ・Web広告含む |
| 運転資金(6ヶ月分) | 1800万〜2000万円 | 家賃・人件費・光熱費等の固定費 |
| 合計(目安) | 約4,100万〜5,750万円 |
高額機器を導入せず、風邪・生活習慣病・予防接種を中心に診療する「地域のかかりつけ医」スタイル。
自己資金400万〜1000万円を目安に、残りを融資で調達するケースが多い。
【モデルB】消化器内科または循環器内科 目安:約7,000万〜1億1,650万円
消化器内科・循環器内科の両科に対応する設備を導入した場合の目安です。
一方のみ特化する場合は、専門機器費の分だけ費用が下がります。
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料) | 300万〜600万円 | 想定面積:約15〜42坪程度 |
| 内装工事費 | 1500万〜2500万円 | 消化器内科は内視鏡室・回復室・洗浄室の設置が必要 |
| 医療機器・設備費(基本) | 500万〜1000万円 | レントゲン・血液検査機器等 |
| 専門機器(消化器内科の場合) | 1500万〜2500万円 | 上部・下部内視鏡システム一式 |
| 専門機器(循環器内科の場合) | 800万〜1,500万円 | 超音波診断装置・心電図・ホルター心電図等 |
| 電子カルテ・レセコン・PACS | 200万〜400万円 | 画像管理システムを含む場合は高くなる |
| 什器・備品・消耗品 | 150万〜250万円 | |
| 採用費・研修費 | 100万〜200万円 | 看護師 2名、医療事務 2名 臨床検査技師1名(心エコーを院内実施する場合) |
| 広告・ホームページ制作費 | 150万〜300万円 | 専門外来の告知に注力 |
| 運転資金(6ヶ月分) | 1800万〜2400万円 | 専門科は患者定着に時間がかかるため多めに確保 |
| 合計(目安) | 約7,000万〜1億1,650万円 |
消化器内科では内視鏡システムだけで1,500万〜2,500万円かかるため、機器のリース活用が費用圧縮の鍵。
内科開業で費用を抑えるコツ
専門機器は開業時にすべて導入しない
まずは一般内科(風邪・生活習慣病・予防接種中心)で開始し、患者数や専門外来のニーズを見て追加することで、資金負担を抑えやすくなります。
内視鏡・超音波診断装置はリースを活用する
内視鏡システムや超音波診断装置は購入ではなくリースを活用すると、初期投資を圧縮でき、運転資金に余裕を持たせることができます。
内視鏡室は将来導入を見据えた設計にする
開業時に内視鏡を導入しなくても、給排水や動線、スペースを想定した設計にしておくと、後から改修する際の費用(数百万円規模)を抑えられます。
院内検査は必要最小限にする
血液検査機器や画像検査をすべて院内で完結させず、外部の検査会社を併用することで、機器投資を数百万円単位で抑えることができます。
【整形外科】開業費用シミュレーション

整形外科は、診療に必要な機器の種類とリハビリ設備の有無によって、開業費用が大きく変わる診療科です。
整形外科の開業費用相場:4,500万〜1億2,300万円
他の診療科と比べて費用が高くなりやすい理由は主に3つあります。
①広い床面積が必要
整形外科はリハビリ室・処置室・X線室・待合スペースなど、複数の部屋を確保する必要があります。
運動器リハビリテーション料を算定するためには、機能訓練室として45㎡以上のスペースが施設基準上必要です。
②医療機器の種類が多い
X線装置・超音波診断装置・骨密度測定装置・各種リハビリ機器など、導入すべき機器が他科より多く、設備投資が重くなりやすい構造です。
③専門スタッフの人件費
リハビリを実施する場合、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の雇用が必要になり、人件費の固定費負担が大きくなります。
整形外科の費用内訳モデルケース
以下はテナント開業を前提とした2つのモデルケースです。
【モデルA】リハビリなし 目安:4,500万〜7,700万円
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料) | 300万〜600万円 | 想定面積:約12〜33坪程度 |
| 内装工事費 | 1200万〜2000万円 | X線室の防護工事・バリアフリー設計が必須 |
| デジタルX線装置 | 500万〜1,000万円 | 整形外科の最重要機器 |
| 超音波診断装置 | 400万〜700万円 | 軟部組織・腱の評価に使用 |
| 骨密度測定装置(DEXA法) | 200万〜400万円 | 高齢患者が多い場合は導入を検討 |
| 電子カルテ・レセコン | 150万〜350万円 | |
| 什器・備品・消耗品 | 150万〜250万円 | 松葉杖・固定具等の消耗品も含む |
| 採用費・研修費 | 100万〜200万円 | 看護師1〜2名、医療事務1〜2名 |
| 広告・ホームページ制作費 | 100万〜200万円 | |
| 運転資金(6ヶ月分) | 1400万〜2000万円 | |
| 合計(目安) | 約4500万〜7700万円 |
外来診療・処置・投薬を中心とし、リハビリは近隣の施設へ紹介する形をとる。初期投資を抑えたい場合や、開業エリアにすでにリハビリ施設が充実している場合に有効な構成。
【モデルB】リハビリ室あり 目安:約6,800万〜1億2,300万円
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料) | 500万〜900万円 | 想定面積:約20〜58坪程度 |
| 内装工事費 | 2000万〜3500万円 | 45㎡以上の機能訓練室・X線室防護工事が必要 |
| デジタルX線装置 | 500万〜1,000万円 | |
| 超音波診断装置 | 400万〜700万円 | |
| 骨密度測定装置(DEXA法) | 200万〜400万円 | |
| リハビリ機器一式 | 500万〜1500万円 | 牽引装置・電気治療器・ホットパック・エルゴメーター等 |
| 電子カルテ・レセコン | 150万〜350万円 | |
| 什器・備品・消耗品 | 200万〜300万円 | |
| 採用費・研修費 | 200万〜400万円 | 看護師1〜2名、医療事務1〜2名、理学療法士(PT)2〜3名を想定 |
| 広告・ホームページ制作費 | 150万〜250万円 | |
| 運転資金(6ヶ月分) | 2000万〜3000万円 | PT・OT人件費が加わるため多めに確保 |
| 合計(目安) | 約6,800万〜1億2,300万円 |
運動器リハビリテーション料を算定することで、診療報酬を安定的に積み上げられる一方、PT・OTの人件費が固定費として重め。
開業当初からリハビリ患者を一定数確保できる見込みがあるかを事前に検討することが重要。
整形外科開業で費用を抑えるコツ
開業当初はリハビリ規模を絞る
PT・OTの採用人数は最小限からスタートし、患者数の増加に合わせて段階的に増員すると、固定費を抑えられます。
リハビリ機器はリースを活用する
牽引装置や電気治療器などは購入ではなくリースにすると、初期投資を大幅に抑えることができます。
MRIは開業時に導入しない
MRIは新品の場合、機器代だけで5,000万〜1億円以上かかります。近隣病院との連携で読影を依頼する形をとれば、開業当初は導入不要なケースが多いです。
物件は1階を優先する
バリアフリー対応が容易で内装工事費を抑えやすくなります。エレベーターのないビルの上階では改修コストが膨らむ場合があります。
【皮膚科】開業費用シミュレーション

皮膚科は保険診療のみで開業するか、自費診療(美容)を組み合わせるかによって、費用が大きく変わる診療科です。
皮膚科の開業費用相場:3,200万〜8,350万円
費用の幅が生まれる最大の要因は保険診療か自費診療(美容)かの違いです。
①保険診療のみ
皮膚科は他の診療科と比べて、特殊な配管工事や広い処置スペースを必要としません。
医療機器も比較的コンパクトにまとまるため、診療科の中でも初期費用を抑えやすいです。
②自費診療(美容)を追加する場合
レーザー系の美容医療機器は1台あたり300万〜1,500万円と高額です。
導入台数が増えるほど費用は跳ね上がり、機器代だけで2,000万〜4,000万円規模になることもあります。
皮膚科の費用内訳モデルケース
以下はテナント開業を前提とした2つのモデルケースです。
【モデルA】保険診療のみ構成 目安:約3,200万〜4,750万円
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料) | 300万〜400万円 | 想定面積:約8〜20坪程度 |
| 内装工事費 | 800万〜1200万円 | 特殊設備が少なく他科より抑えやすい |
| 医療機器・設備費 | 400万〜700万円 | ダーモスコープ・光線治療器・顕微鏡等 |
| 電子カルテ・レセコン | 150万〜300万円 | |
| 什器・備品・消耗品 | 100万〜200万円 | |
| 採用費・研修費 | 50万〜150万円 | 看護師1名 医療事務1〜2名 |
| 広告・ホームページ制作費 | 100万〜200万円 | |
| 運転資金(6ヶ月分) | 1300万〜1600万円 | |
| 合計(目安) | 約3,200万〜4,750万円 |
湿疹・アトピー・ニキビ・水虫など一般的な皮膚疾患を中心に診療するスタイル。
診療科の中でも開業費用を抑えやすく、初期投資リスクが低い。地域住民のかかりつけ皮膚科として安定した患者数を確保しやすい。
【モデルB】保険診療+自費 目安:約4,100万〜8,350万円
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料) | 200万〜500万円 | 想定面積:約8〜25坪程度 |
| 内装工事費 | 800万〜1,500万円 | カウンセリング室・施術室の設置が必要 |
| 医療機器・設備費(保険診療分) | 300万〜700万円 | ダーモスコープ・光線治療器等 |
| 美容医療機器(1〜2台) | 1000万〜2500万円 | フラクショナルレーザー・Qスイッチレーザー・IPL等 |
| 電子カルテ・レセコン | 150万〜300万円 | |
| 什器・備品・消耗品 | 150万〜250万円 | 施術用ベッド・カウンセリング用備品等 |
| 採用費・研修費 | 100万〜200万円 | 看護師1〜2名医療事務1〜2名美容施術担当スタッフ1名(看護師兼務の場合あり) |
| 広告・ホームページ制作費 | 200万〜400万円 | 美容メニューの訴求にWeb広告が重要 |
| 運転資金(6ヶ月分) | 1200万〜2000万円 | |
| 合計(目安) | 約4,100万〜8,350万円 |
保険診療で安定した患者基盤を作りながら、美容レーザー等の自費メニューで収益を上乗せする構成。
皮膚科開業で費用を抑えるコツ
まず保険診療で開業し、経営が安定してから美容機器を追加する
自費診療の需要は開業エリアの患者層によって大きく異なります。そのため、開業直後から高額機器を揃えるのはリスクが高いです。
美容機器はリースまたは割賦払いを活用する
1台数百万円〜1,500万円の機器は購入ではなくリースにすると、初期投資を大幅に抑えられます。
導入する美容機器は1台に絞る
汎用性の高いフラクショナルレーザーやIPLを1台導入し、稼働率や収益を確認してから2台目を検討するのが現実的です。
【歯科】開業費用シミュレーション

歯科は診療ユニットの台数と専門分野の組み合わせによって、開業費用が大きく変わる診療科です。
歯科の開業費用相場:4,100万〜1億1,500万円
内科や皮膚科と比べて費用が高くなりやすい理由は、診療ユニット(チェアユニット)の存在です。
ユニット1台あたり200万〜400万円の本体価格に加え、専用の配管工事・電気工事が必要なため、台数が増えるほど機器費と工事費が比例して膨らむ構造になっています。
また、矯正・審美・インプラントなど専門分野の機器を追加する場合は、さらに数百万〜数千万円の上乗せが発生します。
歯科の費用内訳モデルケース
以下はテナント開業を前提とした2つのモデルケースです。
【モデルA】ユニット2台構成 目安:約4,100万〜7,100万円
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料) | 300万〜600万円 | 想定面積:約12〜33坪程度 |
| 内装工事費 | 1200万〜2000万円 | |
| 歯科用ユニット(2台) | 400万〜800万円 | |
| デジタルX線装置・パノラマX線 | 200万〜500万円 | パノラマ撮影装置は歯科に必須 |
| 滅菌器・その他診療機器 | 150万〜300万円 | オートクレーブ・光照射器等 |
| 電子カルテ・レセコン | 150万〜300万円 | 歯科専用システムを使用 |
| 什器・備品・消耗品 | 100万〜200万円 | |
| 採用費・研修費 | 100万〜200万円 | 歯科衛生士1〜2名、歯科助手1名程度を想定 |
| 広告・ホームページ制作費 | 100万〜200万円 | |
| 運転資金(6ヶ月分) | 1400万〜2000万円 | |
| 合計(目安) | 約4,100万〜7,100万円 |
一人院長+歯科衛生士1〜2名で回せる小規模構成。
初期投資リスクを抑えつつ開業し、患者数の増加に合わせてユニットを増設するステップアップ型の開業に向いている。
【モデルB】ユニット4台構成 目安:約6,550万〜1億1,500万円
| 費用項目 | 金額の目安 | 補足 |
| 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料) | 400万〜800万円 | 想定面積:約20〜58坪程度 |
| 内装工事費 | 2000万〜3500万円 | 4台分の配管・電気工事、受付・待合スペース等 |
| 歯科用ユニット(4台) | 800万〜1,500万円 | |
| デジタルX線装置・パノラマX線 | 200万〜500万円 | |
| 歯科用CT | 300万〜600万円 | インプラント・難症例への対応に必要 |
| 滅菌器・その他診療機器 | 200万〜400万円 | |
| 電子カルテ・レセコン | 150万〜300万円 | |
| 什器・備品・消耗品 | 150万〜250万円 | |
| 採用費・研修費 | 200万〜400万円 | 歯科衛生士2〜3名、歯科助手2名程度を想定 |
| 広告・ホームページ制作費 | 150万〜250万円 | |
| 運転資金(6ヶ月分) | 2000万〜3000万円 | |
| 合計(目安) | 約6,550万〜1億1,500万円 |
院長+複数の歯科衛生士・歯科助手で稼働する標準規模。
歯科用CTを備えることでインプラントや埋伏歯抜歯などの難症例に対応しやすくなる。
複数名体制では人件費が高騰するため、運転資金は厚めに確保しておきたい。
歯科開業で費用を抑えるコツ
ユニットは2台からスタートする
増設は後からでも対応可能です。開業当初から4台揃えると、稼働率が低い期間の固定費負担が重くなります。
歯科用CTは開業時に購入しない
近隣の歯科医院や病院に撮影を依頼する運用からスタートし、患者数や収益が安定してから導入を検討します。
中古ユニットの活用を検討する
国内メーカーの中古ユニットは品質が安定しており、新品の半額以下で調達できるケースがあります。ただし、メンテナンス契約の確認は必須です。
歯科衛生士の採用は早めに動く
歯科衛生士は全国的に慢性的な人手不足で採用競争が激しいです。開業6か月前から採用活動を始めることで、求人費用と採用リスクを下げられます。
クリニック開業に必要となる費用の主な内訳

物件取得費・内装工事費
開業費用の中でも大きな割合を占めるのが物件取得費と内装工事費です。
テナント物件の場合、賃料・共益費に加え、敷金・保証金(賃料の6〜12ヶ月分が目安)が必要になります。
内装工事費は広さや仕様によって差がありますが、現在の相場は1坪あたり60〜100万円程度が目安です。
医療用給排水・電気容量増設・防音・放射線防護工事の有無で上下します。
医療機器・設備費
診療科によって必要機器は大きく異なります。
一般内科では数百万円〜2,000万円台に収まることが多い一方、整形外科・歯科・画像機器を多く導入する場合は数千万円規模になることもあります。
診療内容に直結するため、最も差が出やすい費目です。
人件費・広告費などの開業準備費用
スタッフの採用・研修費、広告宣伝費、各種申請費用などが含まれます。規模や地域差はありますが、数百万円程度が目安です。
都市部でWeb広告を強化する場合や、開業申請・コンサル費用なども加算すると1,000万円前後になるケースもあります。
開業後の運転資金
開業直後は患者数が安定しないため、固定費(家賃・人件費・リース料など)の最低3ヶ月分、できれば6ヶ月分を確保しておくのが現実的です。
診療科や人員規模によっては1,000万〜3,000万円規模になることもあります。
開業資金はどのように準備するか
クリニック開業では、自己資金と融資を組み合わせて資金を用意するのが一般的で、自己資金の目安は、開業費用全体の10〜20%程度です。
医師は比較的融資を受けやすい職種ですが、審査では自己資金の割合だけでなく、事業計画の妥当性と返済能力が重視されます。
借入額に対して無理のない返済計画を、数字で説明できることが重要です。
クリニックの開業資金の調達方法(融資・補助金)

開業費用の多くは融資で調達するのが一般的ですが、制度ごとに金利・上限額・審査の性格が異なります。特性を理解したうえで組み合わせを検討しましょう。
日本政策金融公庫「新規開業資金」の活用
クリニック開業で、まず検討されるのが日本政策金融公庫です。
国が全額出資する政府系金融機関で、創業実績がない場合でも利用しやすいのが利点です。
- 固定金利
- 長期返済が可能
- 設備資金・運転資金の両方に対応
- 数千万円規模の融資が可能
- 条件により金利優遇制度あり
個人開業では「国民生活事業」の新規開業資金を利用します。
- 診療圏調査に基づく患者数想定
- 収支計画と返済計画の妥当性
- 自己資金の準備状況
- 個人の信用情報
申込みから融資実行までは一定期間を要します。物件が具体化した段階で、早めに相談するのが一般的です。
民間銀行融資との使い分け
公庫融資だけで不足する場合は、民間銀行を併用します。
開業初期は実績がないため、まず公庫で融資を受けて実績を積み、その後に民間銀行へ追加融資を相談する流れが多いです。
- 地方銀行や信用金庫が積極的
- 変動金利型が中心
- 担保や保証人を求められるケースが多い
金利変動を前提に、返済計画を組む必要があります。
神奈川県・相模原市の補助金・創業支援制度

創業時は、返済が必要な「融資」と、返済不要の「補助金」の両方を検討します。
制度の性質が異なるため、区別して確認が必要です。
神奈川県の創業支援融資(返済あり)
神奈川県では、制度融資として「創業支援融資」を実施しています。これは返済が必要な融資制度です。
対象は創業予定者または創業後間もない中小企業者で、設備資金・運転資金の借入が可能です。
融資限度額や金利、返済期間は条件により異なります。信用保証協会の保証付き融資となります。
参考:神奈川県 創業支援融資
神奈川県の補助金制度(返済不要)
神奈川県では、中小企業向けに設備投資やデジタル化支援などの補助金が年度ごとに公募される場合があります。
創業者が対象に含まれることもありますが、「創業者専用の常設補助金」があるわけではありません。募集の有無や条件は毎年度異なります。
また、電子カルテなどのITツール導入については、県制度とは別に、国(経済産業省)のIT導入補助金を活用できる場合があります。こちらも公募制です。
相模原市 特定創業支援等事業
相模原市では、産業競争力強化法に基づく特定創業支援等事業を実施しています。
指定支援機関の創業相談やセミナーを、1か月以上かつ4回以上受講すると、市から証明書が発行されます。
この証明書を取得すると、日本政策金融公庫の新規開業資金において自己資金要件の緩和などの特例を受けられる場合があります。
本制度は補助金ではなく、融資や税制優遇につながる支援制度です。
クリニックの開業資金で失敗する5つのパターン

クリニック開業では、資金計画の立て方を誤ると、早い段階で経営が不安定になることがあります。特に多い失敗は次の5つです。
- 開業費用の「見えないコスト」を見落とす
- 運転資金が足りず、開業直後に資金ショートする
- 医療機器を買いすぎて初期投資が膨らむ
- 集患を過大に見積もり、収支計画が崩れる
- 税務・会計の管理を後回しにして節税機会を逃す
これらを防ぐには、開業準備の段階から税理士と連携し、融資資料の作成や資金繰り計画を確認しておくことが有効です。
収支見通しや必要運転資金の妥当性を第三者の視点で検証できるため、資金不足や過大投資のリスクを抑えやすくなります。
まとめ:診療科別の開業費用は丁寧なシミュレーションを

診療科によって、クリニック開業に必要な資金規模は大きく異なります。
重要なのは、相場に当てはめるのではなく、自身の診療内容や立地に合った費用設計を行うことです。
資金計画は融資・補助金・税務対応と切り離せないため、具体的な検討段階に入ったら、医療開業に詳しい専門家へ早めに相談することをおすすめします。
以下の記事でも詳しく解説しています。
【まとめ】ゼロから始めるクリニック開業ロードマップ|資金調達・物件選定・届出の全手順
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